塊り、うまく作れているかな?
これまで、咀嚼(そしゃく)の大切さについて、いろいろお話をしてきました。
口の中に入った食べ物は、歯で咬んで細かくされ、飲み込みやすい塊り(食塊)になってから、体の中へと送られていきます。
「噛んだのに、まだ塊りにするの?」
「しっかり噛んで細かくなったのに、さらに塊りにして飲み込む必要があるの?」
そんなふうに思われる方もいるかもしれません。
実は、食べ物は唾液と混ざって食塊になることで、喉の奥で「これは食べ物ですよ」と感知され、スムーズに飲み込めるようになります。
ここには、私たちの体に備わった大切な仕組みがあります。

飲み込みのとき、喉の中では何が起きている?
ヒトの喉の奥には、空気を肺へ送る「気管」と、食べ物を胃へ送る「食道」があります。
その分かれ道にあるのが、「喉頭蓋(こうとうがい)」というフタのような弁です。
飲み込むとき、食塊が上顎の奥に触れると、それがスイッチとなり、喉頭蓋がパタンと閉じて気管を守ります。
そして、食べ物は自然に食道へと流れていきます。
この動きは無意識に行われ、かかる時間はわずか0.5秒。
私たちは普段、何も考えなくても安全に飲み込めているのです。

食塊がうまく作れないと…
食塊の形成がうまくいかないと、次のようなことが起こります。
- 食べ物をそのまま丸呑みしてしまう
- 食べ物がまとまらず、ダラダラと喉へ流れ込む
どちらも、実はとても危険な状態です。

むせる・詰まるのはなぜ?
丸呑みは、窒息につながるおそれがあります。
また、食べ物が口や喉に残ったまま呼吸をすると、空気と一緒に気道へ入ってしまうことがあります。
むせたり、せき込んだりするのは、間違って気道に入った食べ物を外に出そうとする、体の大切な防御反応です。
しかし、高齢の方ではこの力が弱くなったり、むせそのものが起こらなかったりして、誤嚥性肺炎につながることもあります。
子どもにとっても大切な「食塊づくり」
小さなお子さんの場合、喉に詰まったり、むせて苦しい思いをした経験が、「この食べ物は怖い」という印象につながってしまうことがあります。
それが、偏食や食べムラの原因になることもあるのです。
食塊がうまく作れないことは、年齢に関わらず、大きなリスクを伴います。
食塊づくりの主役は「唾液」
食塊は、食べ物だけでできるものではありません。
唾液が“つなぎ”となってくれることで、食べ物は一つにまとまり、飲み込みやすくなります。
子どもが水分を欲しがる理由
唾液とうまく混ぜられない小さなお子さんが、ミルクやスープを欲しがるのは、楽に飲み込みたいからです。
でも、水分で流し込む習慣がつくと、噛まなくても食べられる、という食べ方になってしまいます。
だからこそ、子どものうちは
**「噛んで、食塊を作る練習」**がとても大切です。
水分を欲しがったときは、
「お口がカラになってからね〜」
と声をかけて、よく噛むことを促してあげましょう。

高齢の方と唾液の減少
唾液の分泌量は、年齢とともに少なくなります。
さらに、服用しているお薬の影響で、口の中が乾きやすくなる方も少なくありません。
唾液が少ないと、食べ物がパサつき、うまく食塊を作れなくなります。
高齢者の場合の工夫と対策
この場合は、子どもとは逆に、
スープやお茶を少しだけ口に含んでから噛むことで、飲み込みやすくなることがあります。
また、嚥下体操などで唾液を出やすくすることも効果的です。
口の渇きが強い場合は、誤嚥性肺炎を防ぐためにも、主治医に相談し、お薬の調整が可能かどうか確認してみましょう。

今日のまとめ
- 食べ物は、よく噛んで唾液と混ざり、食塊になることで安全に飲み込むことができます
- 食塊がうまく作れないと、丸呑み・むせ・誤嚥などのリスクが高くなります
- 唾液は、食塊づくりに欠かせない**大切な“つなぎ役”**です
- 子どもは「噛んで食塊を作る練習」を、高齢の方は「唾液を補いながら飲み込む工夫」を
- 年齢や状態に合わせた食べ方が、安全で楽しい食事につながります
「しっかり噛めているか」だけでなく、
**「ちゃんと食塊が作れているか」**にも、ぜひ目を向けてみてくださいね。

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