「トリック・オア・トリート!」
ハロウィンといえば、子どもたちが楽しみにしているお菓子です。
かわいいお菓子や、ちょっと不気味なお菓子。たくさんのお菓子を前に、子どもたちの笑顔が広がる季節ですね。
そんな楽しい時間に、少し気になるのがむし歯です。
今回は、ハロウィンのお菓子をきっかけに、子どものむし歯との付き合い方と、その奥にある生活や子育て支援について考えてみたいと思います。
この記事のポイント
- お菓子を禁止する必要はありません
- 食べる時間と回数を決めましょう
- だらだら食べず、まとめて食べましょう
- 食べた後は水を飲み、その夜はいつもより丁寧に仕上げみがきをしましょう
「生え変わるから大丈夫」ではありません
小さなお子さんのむし歯について、かつては「子どもの歯はどうせ生え変わるから大丈夫」と考えられることもありました。
けれども、乳歯は永久歯に生え変わるまでの一時的な歯だからといって、むし歯になってもよいわけではありません。

むし歯が進行すると、痛みが出たり、食べることに支障が生じたりすることがあります。歯が大きく崩れたり、失われたりすれば、噛むことや食事にも影響する可能性があります。
子どもたちが毎日の食事を楽しみ、健やかに成長するためにも、乳歯の時期からお口の健康を守ることが大切なのです。
【コラム】昔、むし歯で前歯が黒くなった子どもを「味噌っ歯」と呼ぶこともありました。そんな時代と比べると、予防の意識は大きく変わってきましたね。
むし歯は減っています。でも、偏りがあります
子どものむし歯は、長期的に見ると減少してきました。
厚生労働省の「令和6年歯科疾患実態調査」に関する資料では、むし歯のある子どもの割合は2歳で0.7%、5歳で16.3%と、年齢とともに増えていくことが示されています。
子どもの歯を守る取り組みが進み、むし歯が少なくなってきたことは、とても喜ばしいことです。
ただし、すべての子どもが同じようにお口の健康を守れているわけではありません。
むし歯がほとんどない子どもが増える一方で、何本ものむし歯を抱え、歯が大きく崩れたり、失われたりしてしまう子どもたちもいます。
なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか。その理由は、この記事の後半で一緒に考えていきます。
ハロウィンのお菓子を楽しむための工夫

むし歯予防のために、甘いお菓子をすべて禁止する必要はありません。
大切なのは、お菓子との付き合い方です。できることから取り入れてみましょう。
- お菓子を食べる時間や回数を決める
- 長時間だらだらと食べ続けない
- 食事やおやつのタイミングに合わせて、まとめて食べる
- 食べた後は、水や麦茶を飲む
- その日の夜は、いつもより丁寧に仕上げみがきをする
- 定期的に歯科健診を受け、お口の状態を確認する
仕上げみがきについては、仕上げみがきを嫌がる…そんなときのポイントもご覧ください。
お菓子の種類で気をつけたいこと
同じ甘いお菓子でも、口の中に残る時間には違いがあります。
キャラメルやグミのように歯にくっつきやすいお菓子は、歯の溝などに残りやすく、糖が長く口の中にとどまります。
飴も、なめる時間が長い分だけ、糖が歯に触れる時間が長くなります。
「どのお菓子なら絶対に大丈夫」というものはありませんが、くっつきやすいもの、長くなめ続けるものは、食べる回数と時間に特に気をつけてあげましょう。
食べるときの安全面も忘れずに
小さな子どもに飴や硬いお菓子、丸い形のお菓子を与えるときには、年齢や発達に合ったものを選び、食べている間は大人が見守りましょう。

また、食べるときの様子にも目を向けてみてください。
食べ物を口に入れた後、すぐに飲み込んでいませんか。長い時間モグモグしていたり、口の中に食べ物をためたまま、なかなか飲み込まなかったりすることはありませんか。
気になる様子が続く場合には、食べ物の硬さや大きさだけでなく、噛むことや飲み込むことについても相談してみましょう。
子どもの食べ方やお口の発達については、「これって丸飲み?」離乳食の固さ・大きさ・食べ方でも紹介しています。
むし歯の奥にある、子どもを取り巻く生活
子どものむし歯予防には、毎日の歯みがき、食生活への配慮、定期的な歯科受診などが大切です。
しかし、すべての家庭で、それらを無理なく続けられるとは限りません。
保護者が仕事や家庭の事情で忙しく、子どもの歯の異変に気づいていても、受診する時間を確保できないことがあります。経済的な事情によって、受診や日々のケアに必要な環境を整えることが難しい場合もあります。
子どもが泣いたり嫌がったりして、歯みがきが思うようにできないこともあります。子育てに疲れ、気持ちにも時間にも余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。
むし歯が多いからといって、保護者の愛情が足りないと決めつけることはできません。
子どものむし歯には、生活習慣だけでなく、家庭の経済状況、養育環境、子どもの発達や特性など、さまざまな要因が関係している可能性があるからです。
一方で、深刻なむし歯が長く放置されている場合に限っては、必要な食事や医療が届いていないなど、養育の面で支援が必要な状態が隠れていることもあります。
大切なのは、むし歯だけを見て家庭を評価するのではなく、その背景に何があるのかを丁寧に考えることです。
歯科健診は、困りごとに気づく機会です
歯科健診というと、「むし歯がないか調べるところ」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それは大切な役割です。ただ、歯科健診にはもう一つ、子どもや保護者が抱えている困りごとに気づく機会という側面もあります。
お口の状態や食生活について話を聞くなかで、歯みがきが難しい理由、食事の状況、受診ができない事情などが見えてくることがあります。
歯科医師や歯科衛生士は、むし歯を見つけて治療につなげるだけでなく、必要に応じて保健師、医師、保育士、福祉関係者など、ほかの専門職と連携しながら支援につなげていきます。
それは、できていないことを責めるためではありません。子どもが健やかに成長できるように、そして保護者が安心して子育てできるように、必要な支援を一緒に考えるためです。
子どものお口は、毎日の生活や成長の様子を知る手がかりにもなるのです。
もし子どものむし歯が見つかったら、責めたり、恥ずかしいと感じたりするのではなく、まずは歯科医院に相談してください。受診が難しい事情がある場合には、地域の保健センターなどに相談することもできます。
すべての子どもが、笑顔で食べられるように
ハロウィンのお菓子を囲む楽しい時間。そのひとときが、歯やお口の健康について考えるきっかけになればと思います。
そしてもう一つ。お口の健康を守るために必要なのは、保護者だけの努力ではありません。家庭を支える地域や社会の仕組みも大切なのです。
すべての子どもたちが、安心して食べ、笑い、成長できるように。
そのために、今日のお菓子との付き合い方から、少しだけ始めてみませんか。
噛みんぐmomでは、子どもから高齢者まで、いつまでもおいしく食べるための「食べる力」についても紹介しています。「敬老の日に考えたい『食べる力』」を読む
次回は、11月8日の「いい歯の日」に合わせて、歯1本1本の役割について書く予定です。

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