東日本大震災や熊本地震、能登半島地震など、大きな災害が起こるたびに、南海トラフ地震への備えが話題になります。
皆さんは、防災グッズを準備していますか?
「自分や家族の命を守るために、最低3日分、できれば1週間分の食料や飲料水を備蓄しましょう」と呼びかけられています。災害発生直後の2〜3日は、ライフラインが止まり、食料や水の確保が最優先になります。
しかし、4日、1週間と時間が経つにつれて、少しずつ日常生活を取り戻すための準備が必要になります。
そこで改めて重要になるのが、「お口のケア」です。
歯ブラシは意外と届きにくい
被災地には、食料や飲料水、おむつなどの救援物資が多く届けられます。一方で、歯ブラシなどの口腔ケア用品は十分に行き渡らないことも少なくありません。
「歯みがきくらい、数日できなくても大丈夫。」
そう思われるかもしれません。
ですが、実際に2〜3日歯みがきができない状態を想像してみてください。口の中はネバつき、不快感が強くなります。それだけではなく、歯垢(プラーク)がたまり、多くの細菌が繁殖してしまいます。
災害時こそ口腔ケアが命を守る

お口の中の細菌が増えると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
特に高齢者では、災害時の食事は乾パンやパン、アルファ化米など、水分が少ないものが中心になりがちです。そのため飲み込みにくく、誤嚥を起こしやすくなります。
口腔内が不潔な状態で誤嚥すると、細菌が肺へ入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性があります。実際に、災害後には誤嚥性肺炎などによる災害関連死が問題となっています。
また、口腔内の衛生状態が悪化すると、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの感染症にもかかりやすくなるといわれています。
お口の健康を守ることは、全身の健康を守ることにもつながるのです。
防災グッズには液体歯磨剤がおすすめ
災害時は、水が自由に使えない状況が続くことがあります。
そのため、普段使っている練り歯磨きでは十分にすすぐことが難しくなります。
そこでおすすめなのが液体歯磨剤です。
液体歯磨剤は少量で使用でき、水をほとんど使わなくてもお口を清潔に保ちやすいのが特徴です。製品によっては口の乾燥を和らげる効果も期待できます。
さらに、洗口剤(デンタルリンス)を備えておけば、歯みがきが十分にできない状況でも、お口の中をさっぱりさせることができます。
※液体歯磨剤と洗口剤は似ていますが、液体歯磨剤は歯みがき前に使用する歯磨き剤、洗口剤は口をすすいでお口を清潔に保つための製品です。それぞれ用途が異なります。
水が使えないときの歯みがき方法
「水がないから歯みがきができない」と諦める必要はありません。
・歯ブラシだけでも丁寧に磨く
・歯ブラシについた汚れはティッシュで拭き取りながら使う
・液体歯磨剤を利用する
・少量の水で軽くすすぐ、または吐き出すだけでも十分
完璧に磨けなくても、歯垢を減らすだけで細菌の増殖を抑えることができます。
防災グッズに入れておきたい口腔ケア用品
防災リュックには、ぜひ次のような口腔ケア用品も加えておきましょう。

- 歯ブラシ
- 液体歯磨剤
- 洗口剤(デンタルリンス)
- デンタルフロス
- 歯間ブラシ
- キシリトールガム
- 入れ歯ケース(使用している方)
- 入れ歯洗浄用品
- 小さなコップ
- ティッシュやウェットティッシュ


普段使っているものを少し多めに準備しておくと安心です。
「ローリングストック」で無理なく備えましょう
防災用品は、一度準備して終わりではありません。
液体歯磨剤やデンタルフロス、歯ブラシなどは、普段から使用し、使った分を補充する「ローリングストック」をおすすめします。

非常食と同じように口腔ケア用品も日常的に使いながら備えておけば、使用期限切れや劣化を防ぐことができます。
お口の健康は、災害から立ち直る力になります
災害時には、むし歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、入れ歯を紛失したり、転倒などで歯が折れたりして、思うように食事ができなくなることもあります。
「食べる」「話す」「笑う」。
これらは、心と体の健康を支える大切な力です。
お口の健康を守ることは、生活の質(QOL)を維持し、災害から立ち直ろうとする気持ちを支えることにもつながります。
食料や飲料水は命を守ります。
そして、お口の健康は、その後の生活を守ります。
防災グッズを見直す機会があれば、ぜひ歯ブラシと液体歯磨剤、そして口腔ケア用品も忘れずに加えておきましょう。

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